☆④金賞「Excellent」 ヒューマンドラマ 戦争 美楽映画

【映画】「アメリカン・ウォー」祖父から孫へ語り継がれる戦争の記憶。"誰の背中にも物語がある"【感想・おすすめ度・おすすめシーンを紹介】

公開年:2012年

ジャンル:戦争・ヒューマンドラマ

視聴媒体:レンタル

監督:サム・フィッシャー

あらすじ

おじいちゃん家に帰省中、納屋で古い軍用トランクを見つけた主人公。それはおじいちゃんが第二次世界大戦時も思い出が沢山詰まっていた。決して話したがらない戦争の記憶を聞き出そうと粘る。観念したおじいちゃんが、トランクの中から3つ品を選ばせ、それぞれの品に纏わる話しをしてくれるという。主人公は真剣にトランクの中のものを選びだしていく・・・

いーぬ。的総評

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プロフィールとサイトマップ

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「今の私、本当に幸せ?後悔しない?」 自分の人生を振り返った時 問いかけた言葉は 至極単純なものだった。 はじめまして。日向端いーぬ。と申します。 挨拶とサイト理念 「自分の為だけに用意された人生」 を楽しんで生きていく為の、キッカケになればと思い ”自分の人生に何が起こったのか”  をブログにすることにしました。 私の目で見てきたもの、感じた事をご紹介する事によって、 自分の考え方、物事の捉え方が、前向きになって頂ける瞬間に立ち会えたら幸せでございます。 私は起立性調節障害、不安障害、うつ病を経験し、今 ...

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注意

以下、ネタバレ含む感想がありますのでお気をつけ下さい。

視聴できる媒体は、記事投稿日の情報です。

主要人物

おじいちゃん(リチャード・ヴォ―ゲル中尉)役:ジェームズ・クロムウェル・・・心を閉ざしているかのように厳格でドライな態度で孫たちと接する人物。それは第二次世界大戦時に軍人として戦った記憶と今も向き合い続けているから。ある日、孫から戦時中の思い出が詰まったトランクを発見され観念したかのように過去と対峙する事に。少し物忘れが始まり出している。

カイル(13歳)・・・おじいちゃんの孫であり、幼少期の主人公。賢く好奇心旺盛。観察眼に優れており、おじいちゃんの心を開くキッカケを作る。

ヴォ―ゲル軍曹・・・成長したカイル。祖父と同じ軍人になり、祖父と同じ指示する立場になる。おじいちゃんとの思い出にとても影響を受けている為、任務中も思い出がよぎる。取集癖はおじいちゃんの影響によるもの。

アギラ―ル・・・カイルの部下。好きな言葉は「そんなもんだ。」陽気でまだまだ軍人としては未熟だが、カイルの片頭痛持ちを見抜いたり、立ち回り方も教えたりと意外と抜け目がない。

「何を話しても失望しないでくれ」

カイルとの約束で、三つまでなら戦争の思い出話をしていいと約束したおじいちゃん。トランクから最初の品を取り出してきたカイル。この品についての思い出を語らなくてはならない。

おじいちゃんが過去と対峙する瞬間の始まり。「何を話しても失望しないでくれ」とお願いする程、後悔と拒絶される事への恐怖を抱えながら日々を過ごしていた事が分かる。戦争という名のもと戦ったけれども、自分がした事は人を手に掛ける行為。心優しく、思慮深い人ほど割り切れるものではないでしょう。失望される事でギリギリの所で保っていた緊張の糸が千切れ兼ねなかったからだと思った。

若き日の行いをずっと誰にも話す事無くこのまま最期をむかえる予定だったのだろうが、孫に不意打ちをくらった特別な日になってしまって私は良かったと思っている。話す事も話さない事も辛いだろうけども。

孫がとても心優しい子で本当に良かった。この瞬間からおじいちゃんが救われたと思うと、心があったまるシーンに見えます。おばあちゃんの表情もとても愛おしくて胸がぎゅっとなります。

お前が大人のつもりで話す

そもそもカイルに何故話そうと思ったのか。おじいちゃんの戦友を撃ったのが、12、3の子供だったからではないだろうか。戦争に参加した子供は皆、勇敢で大人と変わらなかった。あの時と同じ年齢の孫を敵のドイツ兵と重ねた可能性は大いにあるでしょう。

そもそも戦争話しは事実を伝えなければ心に響かないだろう。カイルなら受け止めて将来に活かせると思った言葉だったのかもしれない。

"そんなもんだ"

シーンは大人になり、おじいちゃんと同じ軍人となり、人に命令する立場にある軍曹となったカイル。責任の重さからか、片頭痛に悩まされる。それに気づいたのはひょうきんで仲間の部下であるアギラールだった。

片頭痛持ちの私からしたらどうやって治すのか教えてほしい限りだが、アギラール曰く、「痛みは生きてる証。」そう考えるようになったら随分と楽になるらしい。もしくは"そんなもんだ"と諦める事なのかもしれない。要は仕方ないと気楽に考えるのが重要なのでしょう。

カイルの場合は生死と隣り合わせなので、ストレスの差は私とは比べものにはならないが、真面目で責任感の強すぎるカイルには救われた言葉なのではないのかな。

たとえこの後に悲劇が待っていようとも。

自分の後悔の無い判断か、任務重視の判断か

おじいちゃんの思い出の一つ。最初の品を選んだ時のエピソードがおじいちゃんもカイルも一番印象に刻まれていたのではないか。

おじいちゃんは敵を仕留めるわけもなく、助ける事もしず見捨てた事をずっと後悔して生きてきた。

カイルも同じ"選択するものの立ち場"となった今、おじいちゃんとの記憶が蘇る任務に付く。

戦場の判断は一瞬で確実でなければ仲間の命に関わる。かといって純粋に助けを求めてくる敵を無視できないのも人間の性。自分が後悔しない判断をするか、任務遂行を第一に考えるか。前者は人に対して平等な考え方。後者は戦争を早く終わらせ、仲間の生存率をあげる考え方。どちらも大切だが、切迫した状況の中で一瞬で判断し、選択できるのは一つだけ。

きっとこんなストレスずっと浴び続けてきた仕事だったのでしょう。そりゃ頭痛も頻発するさぁ。ただ、判断に迷いがあれば、おじいちゃんのように何十年も悩み苦しむ事に。おじいちゃんの言葉は切なくて重い。主人公もそう感じたのではないかな。

「人間は他の動物とは違う 人間にしかできない。銃で○すなど」

まとめ

おじいちゃんの話しを聞いてから収集癖が始まった主人公。何となくだったとしても、軍人として生きた戒めのように感じました。

"忘却を許さない"

おじいちゃんの手紙に書いてあった言葉から戦争は必ず後悔してしまう出来事が起こると教えてくれた映画でした。勝っても負けても悲劇が起きてしまうなら何の意味があるのだろうか。それでも人間は変われないのだろうか。

ずっと伝え続けて抑止していくしかないのかもしれない。

私のおじいちゃんも戦争経験者だが、何だか触れてはいけない気がして聞けなかった。その事を今でも後悔しています。おじいちゃんにとっては話したくなかったのかもしれませんが、できたら話して欲しかった。悲しみを共有したかった。

自分の物語を語る事で、未来の平和を願う事を教えてくれた切なく美しい映画でした。

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